X01-500 Microphone Preamp
概要

X01-500は超低歪み、超低雑音を誇るX01マイクプリアンプの設計をそのままAPI500シリーズ互換モジュールとして使用できるようにモジュール化したものです。1チャンネル単位で必要に応じて追加することができるため、録音ソースによりフレキシブルな対応が可能です。
電源電圧がシャーシに依存するため、±16Vとマイクプリアンプとしては決して高いとはいえない不利な状況ながら、X01マイクプリアンプの設計は史上最高の低歪み、低雑音性能を誇ります。出力レベルこそ電源電圧に制限を受け、最大で約+28dBuとなりますが、昨今一般的な18dBのヘッドルーム(規定レベル+4dBuに対して)において必要な最大出力レベルは+22dBuですから、その差は6dB、電圧にしてまだ約2倍の余裕があります。
X01マイクプリアンプの特徴の一つである、音楽の躍動感を表現するLEDメーターも搭載されています。デジタル制御により鮮やかに光るLEDは美しいだけでなく、正確なピークを表示します。dBFS表示なのでDAWの画面を見ることなく録音レベルの調整が可能です。
※API500シリーズ互換モジュールについてはシャーシの選択方法などによりX01マイクプリアンプの性能を十分に発揮できない場合があります。こちらからご確認ください。
特徴
- 超低歪み THD+N 0.00015%(20dBゲイン、+20dBu出力、1kHz、20kHz帯域幅)
- 超低雑音 EIN -139.8dBu(60dBゲイン、入力コモン、A特性)
- 超広帯域 5.0Hz 〜 694kHz(±0.2dB、20dBゲイン)
- Grayhill社製ロータリースイッチによる2dBステップの正確なゲイン(誤差±0.2dB)
- 電解コンデンサには長寿命の高分子タイプを使用
- 信号ラインに挿入されるコンデンサは大容量フィルムコンデンサが1つのみ
- デジタル制御により音楽の躍動感を表現する高精度のピークメーター
- 電子部品はスルーホール仕様で人の手により組み上げ(一部表面実装部品も使用)
- 製品出荷時の測定データを添付
- API500シリーズ互換モジュール
- 5mm厚のステンレス削り出しによる重厚感と高級感あふれるフロントパネル
- ケースには1mm厚のメッキ鋼板を使用し厳重にシールド
操作説明

① ゲインコントロールノブ:ゲインを設定します。調整範囲は+8dB〜+26dBまで2dBステップです。
② +20スイッチ:①で設定されているゲインに+20dBの増幅を加えます。ゲイン調整範囲は+28dB〜+46dBとなります。ONの状態で緑色に点灯します。
③ +40スイッチ:①で設定されているゲインに+40dBの増幅を加えます。ゲイン調整範囲は+48dB〜+66dBとなります。ONの状態で黄色に点灯します。+20スイッチのON/OFFの状態に影響されず、ONの状態では常に+40dBとなります。
④ P48スイッチ:ファンタム電源スイッチです。ONの状態で赤色に点灯します。電圧は48V(シャーシから供給される電圧に依存)、ファンタム抵抗値は6.84kΩです。
⑤ ピークメーター:信号レベルをdBFSで表示します。出荷時の設定は 0dBFS=+18dBu です。基板上の半固定抵抗器により調整可能です(調整可能範囲:0dBFS=+15dBu〜+21dBu)
⑥ 電源インジケーター:シャーシから機器に電源が供給されているとき点灯します。
スペック
表示されている値はプロトタイプの測定値です。発売までに更なる改善を目指しています。販売時の保証値については検討中です。
周波数特性(グラフはこちら) | |
20dBゲイン ±3dB(150Ωソース抵抗) | 2Hz以下 – 1.66MHz |
20dBゲイン ±0.2dB(150Ωソース抵抗) | 5.0Hz – 694kHz |
40dBゲイン ±3dB(150Ωソース抵抗) | 2Hz以下 – 1.66MHz |
40dBゲイン ±0.2dB(150Ωソース抵抗) | 4.6Hz – 694kHz |
60dBゲイン ±3dB(150Ωソース抵抗) | 2Hz以下 – 1.59MHz |
60dBゲイン ±0.2dB(150Ωソース抵抗) | 2.9Hz – 480kHz |
全高調波歪み率+雑音(THD+N)(歪み率のグラフはこちら) | |
20dBゲイン +20dBu出力 1kHz 20KHzBW | 0.00015% |
40dBゲイン +20dBu出力 1kHz 20KHzBW | 0.00040% |
60dBゲイン +20dBu出力 1kHz 20KHzBW | 0.0038% |
入力換算雑音レベル(EIN)(ノイズスペクトルはこちら) | |
20dBゲイン 150Ωソース抵抗 22Hz〜22kHz | -119.0dBu |
20dBゲイン 150Ωソース抵抗 A特性 | -121.6dBu |
40dBゲイン 150Ωソース抵抗 22Hz〜22kHz | -128.4dBu |
40dBゲイン 150Ωソース抵抗 A特性 | -130.9dBu |
60dBゲイン 150Ωソース抵抗 22Hz〜22kHz | -129.7dBu |
60dBゲイン 150Ωソース抵抗 A特性 | -132.3dBu |
20dBゲイン 入力コモン 22Hz〜22kHz | -119.4dBu |
20dBゲイン 入力コモン A特性 | -121.9dBu |
40dBゲイン 入力コモン 22Hz〜22kHz | -132.5dBu |
40dBゲイン 入力コモン A特性 | -135.1dBu |
60dBゲイン 入力コモン 22Hz〜22kHz | -137.2dBu |
60dBゲイン 入力コモン A特性 | -139.8dBu |
相互変調歪み(IMD)/ @40dBゲイン +18dBu出力 | |
SMPTE (60Hz & 7kHz 4:1) | 0.00021% |
CCIF (19kHz & 20kHz, 1:1) | 0.00018% |
同相成分抑圧比(CMRR)/ @3.54Vcm(グラフはこちら) | |
20dBゲイン 100Hz | 106.4dB |
20dBゲイン 1kHz | 95.6dB |
20dBゲイン 10kHz | 76.3dB |
40dBゲイン 100Hz | 118.0dB |
40dBゲイン 1kHz | 116.9dB |
40dBゲイン 10kHz | 98.7dB |
60dBゲイン 100Hz | 117.3dB |
60dBゲイン 1kHz | 122.6dB |
60dBゲイン 10kHz | 110.8dB |
ゲイン | |
調整範囲 | 8dB – 66dB(2dBステップ) |
誤差(無負荷時) | ±0.2dB以内 |
最大出力レベル | |
シャーシ電源電圧±16.0V 10kΩ負荷 THD<1% | +28.3dBu |
ファンタム電源 | |
電圧(マイクロフォン無接続時) | シャーシによる供給電圧 +0.0 / -0.2V |
抵抗値 | 6.84kΩ(Hot/Cold それぞれ) |
抵抗値誤差 | ±0.1% |
インピーダンス(グラフはこちら) | |
入力 1kHz | 3.12kΩ |
出力 1kHz | 94Ω |
消費電力(消費電流) | 最大3.8W(最大120mA) |
API500モジュール使用上の注意
API500シリーズ互換モジュールについては、使用方法によりモジュールの性能を十分に発揮できない可能性があります。下記の注意点をご参照の上でご使用いただくようにお願いいたします。
- 電源トランス内蔵のシャーシを使用する場合、電磁誘導によるノイズにより特にTHD+NとEINの特性が悪化する場合があります。その場合はできるだけ電源トランスから遠いスロットを使用することで影響を多少軽減させることが可能です。
- スイッチング電源を用いたシャーシを使用する場合で、電源ノイズ対策が不十分なシャーシの場合、特にTHD+NとEINの特性が悪化する場合があります。
- X01-500以外のAPI500シリーズ互換モジュールを同じシャーシに装着して使用する場合、他のスロットに装着されたモジュールに由来するノイズにより特にTHD+NとEINの特性が悪化する可能性があります。可能な限り他のスロットにはX01-500のみ、もしくは信頼のおけるモジュールを装着するようにしてください。
※これはX01-500に限らず全てのAPI500シリーズ互換モジュールに共通することです。X01の場合は特に高性能のため、わずかな外部要因により記載のスペック値を得られなくなる場合があります。
推奨されるシャーシはWesAudio社の”SuperCarrier2″で、上記のスペック測定においても使用しています。外付けの電源トランス+各チャンネルに搭載されたリニアレギュレータにより、外部要因による影響を最小限にすることが可能なシャーシです。筐体は電源アースにのみ接続されオーディオグランドに接続されていないため、飛来ノイズ対策のため必ず電源アースを接続する必要があります。